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『チェ・ゲバラ』伊高浩昭 読了

 

 

目次

 

 

1.なぜ読んだのか

あまり大きく報道されたわけではありませんが、4月18日キューバの歴史上かなり大きな意味を持つ決定がなされました。詳しくは以下をどうぞ。

edition.cnn.com

www.bbc.com

 

キューバ革命の指導者フィデルカストロは2011年4月19日に中央委員会第一書記の座を弟・ラウルカストロに譲り、2016年11月25日に90歳で息を引き取りました。彼の死去は大きなニュースとなり、テレビでは速報も出されていたような気がします。2代目第一書記のラウルも1931年生まれの86歳(2018/4/30現在)と決して若くないため、次期指導者が誰になるのか、国際社会の注目の的となっていました。

キューバ近代史について詳しく知りたい方はwikipediaでも読んでください。

キューバ - Wikipedia

チェ・ゲバラ - Wikipedia

この新しい指導者はキューバをどのような方向へ導くのか?ついにアメリカと対話を始めるのか?そんな疑問が飛び交う今日この頃ですから、何かキューバに関する本を読もうということで本書を選びました。

 

2.概要

1928年、アルゼンチンに生まれた革命家チェ・ゲバラ医学生時代にラテンアメリカを旅し、貧富の格差や米国支配の問題に目覚める。カストロ兄弟と共にゲリラ戦で活躍し、59年のキューバ革命政権樹立に貢献。要職を歴任するものの、思いは全ラテンアメリカでの革命推進にあった。再び戦地に赴くチェ。だが前哨戦のコンゴ、続くボリビアで過酷な現実に直面し…。彼の遺した膨大な文章と関係者への取材から実像に迫る。(『BOOK』より)

ざっと言えば、「チェゲバラ一生物語」です。

 

3.雑感

本の巻頭にラテンアメリカキューバの詳細な地図が載っているので、常に栞を挟んでおいて地名が現れるたびに参照しながら読みました。

率直な感想としては、「エルネスト、かっけえ。」といったところでしょうか。エルネストというのが彼の本名で、「チェ」はニックネームに過ぎません。彼の母語であるスペイン語では「あなた」(YOU)のことを"TE"(テ)と言うのですが、アルゼンチン訛りなのか滑舌が悪いのか、彼はそれを"CHE"(チェ)と発音し、そんな彼をおちょくった他国出身の革命仲間が「チェ」という名で呼び始めたのが由来です。文中で「誰々が誰々に何々という渾名を付けた。」という表記が何度か出てきますが、全体的に渾名のセンスは感じられません。

カストロ兄弟のように国の指導者として地位や名声を得る道を好まず、最後まで革命家として生きた男はボリビアで死ぬこととなります。処刑される時に兵士に放った言葉がまた格好いいことこの上ない。Va usted a matar un hombre!" スペイン語初級の教科書に出てきそうな例文ですが、文法書通りに直訳するなら「あなたは男を殺す予定だ」でしょうか。"un hombre"("a man")というのがカッコイイところで、"el hombre"("the man")では無いのですね。本書では「人一人を殺すだけのことだろ」(p288)と訳されています。

 

 

チェ・ゲバラ - 旅、キューバ革命、ボリビア (中公新書)

チェ・ゲバラ - 旅、キューバ革命、ボリビア (中公新書)